リアルワールド [小説(ミステリー以外)]
桐野夏生の『リアルワールド』を読みました。
ここ数年、小説・マンガ・映画などで
なんだかやたらと「リアル」がテーマになっているような気がします。
リアルな世界、リアルな関係、リアルな自分。
その多くは、思春期の子どもの心の問題として描かれるけど、
でも、「自分探し」が若者特有の問題ではなくなっている現在、
「リアル」を求める気持ちは、若者だけに限らないのかも。
が、どちらにしろ、あたしにはそういう感覚があまりピンときません。
「そういう」というのは、
今自分がいる世界がリアルじゃないと感じる気持ち、
自分が本当の自分じゃないと感じる気持ち。
そして、世界や自分がリアルじゃないと感じたとしても、
そのリアルを追い求めなければいけない、という気持ち。
というのも、あたしは根が極端に面倒くさがりなので、
世界や自分がリアルでないとしても、
生きるのに支障はないし、
苦労してリアルを探す必要もないじゃん、と思うのです。
それになにより、
あたしには、何がリアルで、何がリアルじゃないのか、よくわからない。
『リアルワールド』では、たぶん
自分の、あるいは世界の閉塞感を表す言葉として「取り返しのつかないこと」という表現が用いられている。
そして、そうした世界と自分との接点、みたいなものが「リアル」なのではないかと思う。
そうしてみると、
あたしは世界と自分は常に関連している
(自分の行為が世界に影響を与えるし、世界の出来事が自分に影響を与えるという意味で)
と思っているけれども、
そうは考えない人々がたくさんいて、そういう人が「リアル」を求めている、
ということになるのかしら…。
不思議…。
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