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ぼくは勉強ができない [小説(ミステリー以外)]

『ぼくは勉強ができない』を読みました。

ぼくは勉強ができないなんだか…ちぐはぐ、という言い方は正しくない気もするけど、
とてもアンバランスな感じがします。

何がアンバランスなのか、というと、
はっきりとはわからないんだけど、たぶん主人公の価値観が。
主人公は、成績が悪いこと・体が病弱であること・経済的に豊かではないことなど、
そういう、いわゆる偏見の対象となりえることにはすごく敏感。
でも一方で、少し前に流行った「恋愛至上主義」みたいなものには何の疑問も抱かずに、
というよりむしろ積極的に受容していて、
「でも、おまえ、女にもてないだろ」などと平気で口にしてしまう。
そういうところが、なんだかすごくアンバランス。

価値観をもつ、ということは、まったく悪いことではないと思うのだけれど、
価値観によって人を測ることは偏見につながる。
「こいつは勉強ができない」と馬鹿にすることと、
「こいつは女にもてない」と馬鹿にすることは、
何も違わないんじゃないか、と思う。

ただ、だからといって、この小説がダメだとか、嫌いだとかいうのではなくて、
自分が10代だった頃とかのことを思い出してみると、
確かにあたしもそういうアンバランスな価値観をもっていたなぁ、と思うわけで、
そういう意味では、この小説はまさに10代のアンバランスな感じをそのまま描いてるんじゃないかと思います。
で、昔の自分を思い出して、ちょっとへこんだり、
穴があったら入りたい、という気持ちを実感したり…。

文庫版のあとがきに、この本はむしろ「大人の方に読んでもらいたい」とあるけれど、
あたしは20代になった今、この本を読んでよかったなぁと思うのです。


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