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ストレート・チェイサー [小説(本格ミステリー)]

西澤保彦の『ストレート・チェイサー』を読みました。

ストレート・チェイサー昔(まだ文庫が出てない頃)、
図書館で借りて読んでいたのだけれど、
そーいや、文庫買ってないなぁと思い、昨日入手
(書店では売ってないし、Amazonでも新品はないから、マーケットプレイスで)。
だから、読むのは2度目です。
1度目とはちょっと違うおもしろさ。

初めてこの本を読んだときは、
推理ものとしてもおもしろいし、
なんといっても、SFちっくな構成&緻密な心理描写に、
ぅわ〜、西澤ワールド全開!
って感じでした。

で、今回は、というと、
トリックがすべてわかっているぶん、
こんなとこにも伏線が! っていう感じ。
細かい描写による伏線って、
初めて読むときはなかなか目につかないもんなんだなぁ…と実感。

それにしても、何度も書いているようだけれど、
西澤保彦は本当に、差別意識というものに敏感。
この本ではとくに、単なる差別意識への対抗、というんじゃんくて、
自分はリベラルだと信じている人が
本当はそうではないのではないかと悩んだりする。

あたしは常々、できる限りリベラルでありたい、と思っていて、
差別に関する文献を読みあさったり、
実生活でも、できる限り慎重に言葉を選んだりと、努力をしているのだけど
(そしてその結果として、たまに自分がリベラリストであるかのように錯覚してしまうのだけれど)、
さまざまなシーンで、実は自分が全然リベラルではない、ということを思い知らされます。

だから、この作品の主人公が
「(自分は)クリスチャンやリベラリストの顔をしているけれど、
 何のことはない、保守的な白人至上主義者よ。」
と告白するシーンにはすごく、共感。

そして、
ホントはさらけ出したくないそうした本音、あるいはその苦悩を、
こんなにもはっきりと、しかも的確に、言葉に置き換えることのできる
西澤保彦は、やっぱりすごい。

あまり直視したくない自分のイヤな部分を突きつけられているようで、
結構しんどいし、ヤなんだけど、
でも同時に、
そういうイヤなところまでもきちんと描いてくれる作家がいる、っていうことが
救いにもなるのです。
なんだか矛盾してて、ヘンな感じなのだけれど。


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