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冷たい校舎の時は止まる [小説(本格ミステリー)]

辻村深月の『冷たい校舎の時は止まる』(上・下)を読みました。

冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)冷たい校舎の時は止まる(下) (講談社文庫)左:講談社文庫/2007.08/¥819
右:講談社文庫/2007.08/¥819

これも、
文庫化するのをずっと待ってた本です。
新書のときは「上・中・下」の3冊だったのが、
文庫は「上・下」の2冊になってて、お得感。

序盤から、
よくわからない世界に閉じこめられたり、
時間が止まってしまったり、
いっしょに閉じこめられた仲間の一人が
すでに自殺しているんじゃないかという疑惑がもちあがったり…。
そうかと思えば、仲間が一人ずつ消えていったり…。

おっかないです。


描写がクールなせいもあって、
雰囲気にやられる…っていうか、
なんか、ぞわぞわする感じ。

ミステリーとしては…
そっちがメインなのかっ?! って感じ。
…微妙?
おもしろいんだけど、
途中に解答用紙まで用意しておいて、
一番の目玉をそっちに使うのかよ、みたいな。

でも、読み終わってみると、
この本はむしろ、ミステリーというよりは、
ヒューマンドラマというか、
閉じこめられた仲間ひとりひとりの過去や、
心情の描写の方に力が入っているのじゃないかと。

菅原の過去はちょっと泣いちゃったし。
(そして菅原の過去が、終盤で、そんな伏線?! みたいな。)

というわけで、一番感動したのは菅原のお話ですが、
一番共感したのは景子さん。

あたしはふだんから、
周りの人には、冷めてるタイプだと思われてるので
(ただし、沈着冷静とか、そんな格好イイ感じではない。単純に「冷めてる」だけ)、
へこんでも人前で泣いたりはできないし、
うっかり泣いたりしたら、「は?」って思われると思うし。
そして、
景子さんが裕二の申し出を断った理由も、すごい共感。

…ラストで景子さんが幸せそうで、ホントよかった(笑)。


…にしても、話は変わって。

辻村深月にしろ、北村猛邦にしろ、西尾維新にしろ、佐藤友哉にしろ、
80年前後生まれのミステリー作家が書く小説って、
なんか、みんな、非現実的な現実におけるミステリー。

や、もともとミステリーなんて、非現実的なものばっかりなんだけど。

それにしても、
舞台がSFちっくだったりとか、精神世界だったりとか、
天才やら予言者やらがいっぱい出てきたりとか。
そんな状況、100%ありえないだろう、みたいな。

現実にもありえそうな、ふつうの状況で、何かが起こって…っていう小説って、
新しい作家はあんまり書かないなぁ、なんて思ってみたり。

いや、個人的には、十分楽しんでるし、おもしろいから、いいんだけれど。

探偵小説の歴史が長くなるにつれて、ネタが出尽くしたのか、
単に、新本格の傾向なのか、
メフィスト賞受賞作がとりわけそういう傾向をもってるのか、
よくわかんないけど。

単純に、
最近、「ふつうの」探偵小説って、あんまり見ないなぁというお話。


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