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フリッカー式&エナメルを塗った魂の比重 [小説(本格ミステリー)]

佐藤友哉の『フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人』と、
『エナメルを塗った魂の比重 鏡稜子ときせかえ密室』を読みました。

フリッカー式 <鏡公彦にうってつけの殺人 >エナメルを塗った魂の比重<鏡稜子ときせかえ密室> (講談社文庫)左:講談社文庫/2007.03/¥714
右:講談社文庫/2007.09/¥781

佐藤友哉の本は、前からずっと読みたくて、
文庫になるのを待っていたのですが、
『エナメルを塗った〜』の発売まで、『フリッカー式』の発売に気づかなかったという…。
毎月、文庫の新刊はちゃんとチェックしてるつもりだったのになぁ。
ささやかに悔しい。


本題。

なんか全体の印象としては、西尾維新と似てるっぽい?
っていうか、この世代の作家に共通した技法なのか?
現実を書いてるようでいて、そうでもなくて、
登場人物たちはみんなどこかヤバくって、
語り手はクールなのに、全然安心できない感じ。
不安心。

でも、西尾維新よりは、なんとなく、純文っぽい雰囲気です。
作風はあんまり似てないと思うけど、
乙一とか、舞城王太郎みたいな、新・純文って感じ。
…とはいえ、
あたしは文学は全然よくわかんないので
ホント、雰囲気なんだけど。
(本はそれなりに読んでるほうだと思うし、
 純文学とかも、ふつうに本好きな人と同じ程度には読んでると思うけど、
 学問としての文学はさっぱりよくわかんない)

さて、で、
どちらもおもしろかったんだけど、
あたしは実は、佐藤友哉は(というか、舞城王太郎もそうだけど)、
どこがおもしろいのかは、あんまり言語化できません。
というか、実際のとこ、よくわかんないのです。

ミステリーとしては微妙
…っていうか、読者に謎を解かせる気があるのかどうかもわかんないし、
ミステリー的な要素はホントはどうでもよさそうな感じもするし。
でも、通常の私小説のように、
リアリティを伝えるとこに主眼があるわけじゃないだろうし。
どこを評価していいのか
(あたしが「評価する」ってのもおかしな話だけれども、とりあえず)
よくわかんないのです。

でも、なんとなく、何かが琴線に触れる感じ。
よくわかんないけど、次の本も読んじゃうし、
次の本も、やっぱりよくわかんないんだけど、おもしろい、と思う。

なんなんだろ。

あ、全然関係ないけど、
『エナメルを塗った〜』の帯に、大きな、おどろおどろしい文字で、
「密室で惨劇の幕が開く!」という文句が書いてあるんだけれど、
その下に小さく、「そんな目で本書を見ないでください。」という但し書きがあります。

なんとなく好きです。

そんなおどろおどろしい文字で「密室で惨劇の幕が開く!」なんて書いておいて、
「全然、ふつうの探偵小説ではないよ」っていう警告文
(「そんな目で本書を見ないでください」という文句が
 実際は何を指しているのかは判然としないのだけど、
 たぶんそーゆーことじゃないかと思う)
を入れるなんて、ありえない。

でも、そんな感じが好きです。

さて、で、今後も佐藤友哉の本は文庫化されていく予定らしいですが、
あたしとしては、<鏡家サーガ>よりも、
前々から読みたかった『クリスマス・テロル』が早く文庫化すればいいなぁと。

今後に期待。


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