反自殺クラブ [小説(ミステリー以外)]
これもやっぱりだいぶ前に読んだのだけど…。
石田衣良の『反自殺クラブ 池袋ウエストゲートパークⅤ』を読みました。
石田衣良の本は、恋愛ものは微妙なんだけど、
IWGPシリーズは好きです。
いつもどおりの短編集で、
今回は、「スカウトマンズ・ブルース」、「伝説の星」、
「死に至る玩具」、「反自殺クラブ」の4本。
全体的に、シリーズの他の本よりおとなしめな感じで、
物足りない感。
でも、最初の「スカウトマンズ・ブルース」はおもしろかったです。
「伝説の星」は…ふつう。
そのあとの2つは、啓蒙的…というか、啓発的というか、
そういう要素が強くて、あまり好きではないです。
石田衣良はやっぱり、
どっかの受け売りちっくな、型どおりの「イイこと」を言おうとするところが微妙。
それに素直に感動する人もいるのかもしれない…というか、
おそらくいるんだろうから、
それはそれで別にいいのだけれど。
受け売りっぽい言葉って、なんだか、
妙に浮っついた感じで、とってつけたような感じで、
あたしはあまり受けいれられません。
それに、うまい作家っていうのは、
そういう言葉を直接書かなくても、読者に伝えられるのではないか、とも思います。
しかも、直接書かないだけに、
読者自身が考えたり悩んだりしなくちゃいけなくて、
そっちの方がよっぽど、本を読んだ意味があるのじゃないか、と思います。
石田衣良のような書き方は、
読者にあらかじめ、問題に対する(作家の考える)解答を与えている感じで、
あまり好きじゃない。
なんか、読者の考える力を軽視してるように見えるし、
下手すると、自分の考えの押しつけみたいに見えて
(しかも、その「作家自身の考え」は、どっかから借りてきたような、紋切り型…)。
あたしの石田衣良に対するイヤな感じっていうのは、
そういうあたしの勝手な「うまい作家」像にあるんだろうなぁ
…とちょっと内省してみたり。
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