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子供たち怒る怒る怒る [小説(ミステリー以外)]

佐藤友哉の『子供たち怒る怒る怒る』を読みました。

『子供たち怒る怒る怒る』(画像なし)
新潮文庫/2008.05/¥514。

短編6作。

どうでもいいことだけど、佐藤友哉の顔写真を初めて見ました。
『水没ピアノ』での、おーちようこの解説を読んだ直後だったので、
なんだか、ギャップが…。


さて、で、本題です。

どれもかなりおもしろかったけど、
あたしの好みからすると、一番イイのは、断然、「死体と、」です。改行なしなのに読みやすい。…というか、引き込まれる。

あたしは文学とかは全然わかんないので、当然、作者の技量なんか計れるはずもなく、
基本的には、技法には無関心なのですが、
それでも、
舞城王太郎の『煙か土か食い物』以来のインパクト。

何が、と言われるとよくわからないけど、
これはすげぇな…、と、感動。
てか、感無量?

ストーリーも、
文章が淡々としているわりに、ドロドロしていてとても好きです。


他の作品では、
「慾望」の、あの、大人と子どものわかりあえなさと、
「大洪水の小さな家」の、ひとりきりで世界が完結している「終わってる」感がとくに好き。

「生まれてきてくれてありがとう!」は、珍しく(?)ストレートにイイ話。
「リカちゃん人間」は、タイトルのエグい感じが気に入ってます。
運動家のうざったさと、そのあっさりした最期も、皮肉っぽくてイイ感じです。

ただ、
表題作の「子供たち怒る怒る怒る」だけは…
描写がグロくて途中で萎えました。。。
(ブログでは何度も書いているような気がするけど、
 あたしは拷問まがいの行為が、生理的にダメなんです)


さて、で、6作読んで…。
佐藤友哉は、善良な人だなぁ、と思いました。
だって、最後の2作は、比較的「希望」を残して終わるし。
その2作は、わざわざ、この本のために書き下ろしたものらしいし。
なんだかイイ人。


そして、陣野俊史は解説で、
「この小説集はアナーキズムの小説でできて」いると言いますが、
それは微妙。
あたしの解釈では、アナーキズムというのは、
否定すべき対象(政府とか権力とか)があって初めて成立するものだと思うのですが、
この小説に出てくる子どもたちは
(「子供たち怒る怒る怒る」は例外だけど)、
そもそも、そんな対象をもっていない。
というか、
大人と世界を共有していない。
ならば、それはアナーキズムというよりは、
大人から見ればニヒリズムに近いんじゃないかな、と思ったり。
…まぁ、よくわかんないんだけど。


とりあえず、この本、おもしろかったです☆
(↑ 強引な締め方…)
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