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友情 [小説(ミステリー以外)]

武者小路実篤の『友情』を読みました。

友情 (新潮文庫)新潮文庫/1947.12/¥362。

新潮社の夏の100冊だったから
…というよりも、
『“文学少女”と繋がれた愚者』の影響が大きいです。

で、ぶっちゃけ、『文学少女』の方がおもしろかったんだけど、
その感想は、おいおい書くとして…。

『友情』です。

1947年、戦後わりとすぐに書かれた本。
武者小路実篤といえば、歴史の授業で習う「白樺派」!
というわけで、
てっきり、もっとずっと昔の人だと思いきや、
意外と最近(…といっても1976年)まで生きてた人。

でも、『友情』に関して言えば、
たかが60年くらいで、
人の意識はずいぶん変わるんだなぁと思った1冊。

三島由紀夫とか太宰治とかの本は、
むしろ、「昔も今も、人はたいして変わらないなぁ」と思うのに。
武者小路が19世紀生まれなのに対し、
三島や太宰が20世紀生まれだから…?


んで、何がそんなに「違うなぁ」と思うかというと…。

女性の位置づけ…は、
(腹は立つけど)そういう時代なので仕方ないとして。
杉子が引き合いに出した女権拡張者云々も、まぁ、
(腹は立つけど)そういう時代なので仕方ないとして。

もっとも違うなぁと思うのは、

愛の形?

昔は愛というものへの信仰が強かったんだなぁと。。。
今の時代に、野島のように「愛」を語る人がいたら、
たぶん、というか、十中八九、ドン引きです。

情熱的すぎる。

始めは、
いつの間に人は、こんなに愛に対してクールになったんだろうと思ったんだけど、
たぶん、今の時代もやっぱり、ある種の「愛」への信仰はあって、
でも、それはもっと、穏やかな愛…なんだと思う。
だからたぶん、愛の形が変わった?

なんか、そんな感じを受けた本でした。


あと、もうひとつ、この小説でおもしろかったのは、
物語のテーマのひとつが「ままならない恋愛」だというせいもあって、
高校の時、倫理の授業で、
あるいは大学の時、心理学の授業で習った
(フロイトの提唱した)「防衛機制」がすごいたくさん、
しかもわかりやすく描かれてること。

「逃避」とか「否認」とか「合理化」とか、そーゆーやつ。
最終的には、主人公は「昇華」へと向かうわけだけど。

やっぱ人は、そういう葛藤を繰り返すんだなぁと。
ステキな心理学テキストになるかも。

タグ:純文学
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