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解体諸因 [小説(本格ミステリー)]

昨日ブログをアップして、ふと、
「ブログを書き始めてからあたし、一度も本格ミステリー読んでないじゃん!」
ということに気づきました。
気づいてみると、なんだか無性に本格ミステリーが読みたくなり、
ひさしぶりに西澤保彦の『解体諸因』を読むことにしました。

解体諸因あたしの父や友人は、しばしば、
「犯人もトリックもわかってるミステリーを読んで、何がおもしろいのかわからない」
と言うのだけれど、
あたしは気に入った本は何度でも、飽きることなく読み返します。
だって、おもしろいものは、何度読んでもおもしろいもの。
犯人やトリックがわかっている、ということは、
その本のおもしろさを全く阻害しない。
本格ミステリーの真髄は、その論理の美しさにある
と、あたしは信じています
(数学にしろ、ミステリーにしろ、理論的にきちんと説明できるものは美しい!)。
そうした意味で『解体諸因』の解説で、鷹城宏が
本格ミステリーの醍醐味のひとつに「机上の空論の美しさ」を指摘していることには
すごく共感できる。
…というか、
その表現の仕方の的確さに脱帽しました。

で、『解体諸因』。
『解体諸因』は、西澤保彦のデビュー作です。
でもって、安槻シリーズの第一弾です。
今まで安槻シリーズは、8冊出てるのですが、
そこまで読んでから、この『解体諸因』を読み直すと、
なんだかいろいろおもしろい。

というのも、
『解体諸因』以降の5冊の長編は、冊数を重ねるごとに、
本格パズラーの要素以外の要素、たぶん登場人物同士の関係性を描くこと、に
しだいに比重がかかっていく感じがするのだけど、
『解体諸因』は、人物関係が極力排除されていて
(ボンちゃんとタックがいっしょにいるシーンがないなんて!)、
まさにバリバリ本格パズラー、あるいは本格パズラー100%、って感じ。

そして、
登場人物に関して言えば、
まず、なんといっても、ウサコがいない。
平塚刑事はいるのに(笑)。
そしてタックの口調も、今とは少し違う感じで、なんか新鮮。
それに、タックがコイケさんのことを「ヤスヒコ」って…。

んで、またしても解説の話になるのだけど、
これが文庫で出た当時は、安槻シリーズは『仔羊たちの聖夜』までしか出てなくて、
鷹城宏は解説の末尾に、
タカチとタックが結ばれるのか、そうでないのかが気になる
という趣旨のことを書いていて、
今その解説を読むと、顔がニヤニヤしちゃう。

でもあたしも、このシリーズ、ずっとそれが気になってました。
ちなみに、
安槻シリーズがだいぶ進展した今、
気になるのは、ボンちゃんが誰と結婚するのか(あるいは結婚はしないのか)、です。
だって、ボンちゃんの彼女の話は「新・麦酒」(『謎亭論処』参照)でしか出てきてないんだもん。

ここ5年くらい、安槻シリーズは出ていないのだけど、
『依存』の直後の4人も気になるし、
就職後のボンちゃんに彼女ができるのかどうかも気になるし、
早く次の作品が出ないかなぁと待ち遠しいです。


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