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赤い長靴 [小説(ミステリー以外)]

江國香織の『赤い長靴』を読みました。

赤い長靴 (文春文庫 え 10-1)文春文庫/2008.03/¥476。

この本に限らず、
江國香織の書く夫婦の話はとても好きです。

すごくリアリティがあって。

…とはいっても、
あたしは結婚していないので、
夫婦生活というものはよくわからないのだけど。

でも、たぶん、「ああいう感じ」って、
夫婦に限らず、親しい人との間すべてでそうなんじゃないかしら、、、
と思ったり。


江國香織の描き出す夫婦関係は、
すごく危ういところで、ギリギリのところで、なんとか成立してる感じがします。

幸福と不幸が混在していて、
充足と不足が重複していて、
一人でいることの楽しさと、一人でいることの淋しさが調和していて。

人と人は決して分かり合えないけど、
それでも、人は満ち足りることができて、
それでも、人は誰かといっしょに生きていこうとして。

そんなのは、ひどく矛盾しているし、ひどく不合理。
アンビヴァレント。

でもたぶん、
あたしたちの生きている世界は、そういう世界なんだろうな、と思います。

みんな、親しい人びととの関係の中では、
その親しさゆえに、アンビヴァレントな感情を抱えながら、
いつ壊れるかわからない、ギリギリのところで、
どうにかこうにか関係を維持しているのじゃないのかな、と思ったりします。

そして、だから、
江國香織の小説はあんなにリアルなんだろうな、と思います。


ただなぁ〜…
そのリアルさゆえに、
淋しいときに読むと、この小説、
淋しさを倍増させます。

好きな本だけど、比較的上がり調子のときに読むべき本。


<補足>
ちなみに、江國香織の『いくつもの週末』は、
エッセイだけれども、
やっぱりギリギリ感が全開の本。

ただ、
『赤い長靴』とは違って、こっちの本は、淋しいときに読むと、
「一人でも大丈夫! やっていける!」っていう気持ちになります。
……。
この違いはなんだろう。。。
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